「働きがいが感じられないのは収入の伸び悩みが原因である」は本当か?

先日NHKでも取り上げられた『働き盛りの半数近く「やりがい感じられない」』というニュース。このニュースでは「収入の伸び悩みなどがやりがいの低下につながっている」とまとめられているが、このまとめは明らかに誤っている。

しかも、この分野の業界リーダーの一角を成す日本能率協会の分析ときているのだから、もはや怒りすら感じるのである。

誤り方自体はそんなに複雑なものではなく、単なる帰納法の誤用である。

具体的には『「収入に不満がある」と答えた人は30代で76.9%、40代で72.3%で、こちらもほかの世代より高く、協会では、収入の伸び悩みがやりがいの低下につながっているとみています。』(以上引用)の部分である。収入に不満があることと、やりがいの低下について、この文だけからは因果関係は読み取れない。

また、この分析、実は理論的にも誤っている。それは「ハーズバーグの衛生要因と動機付け要因理論」である。衛生要因とは給与や物理的な作業条件などを指し、動機付け要因とは仕事の達成、責任、成長などを指す。そして、この理論のエッセンスは「衛生要因をいくら高めても不満の解消にしかならず、満足をもたらすには動機付け要因を強化することが必要」というものである。

つまり、衛生要因に分類される給与体系等をいくら見直しても、それはマイナスがゼロになるだけの話であって、やりがいを感じるというプラスまでには持っていけないのである。

この理論については、人材育成や経営に携わっている人であれば、普通は知っている基本的なものなので、日本能率協会の人が知らないはずはないのである。おそらく、この方がニュースバリューがあると判断されて、こんな報道になったのだろう。

 

またこの議論は「そもそも仕事にやりがいを求めるものなのか?」という論点も孕んでいるのだが、それはまた別の機会に扱いたい。

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