先日、声楽家の楠瀬誠志郎さんからこんなお話をお伺いしました。
自己表現のポイントはとにかく出し切ること。自分を抑えていては自分の存在が舞台に残ってしまう。たくさんの人が舞台にいる時は、全員が自分を出し切る。全員が自分を表現しきると、舞台から自分が消える。それが自己表現だ。
あくまでソースは僕の記憶ですので完全再現とまではいきませんが、このような主旨のことをおっしゃっており、僕の印象に強く刻み込まれました。
とはいえ、日常では自分の存在を残そうというエゴから表現をしてしまいたくなる時があります。特に、評価・判断にさらされる状況など「自分の存在を証明しなければならない」と思い込みが作動しやすい状況では抑えたくても抑えられず衝動的にやってしまうことも。
これは自己表現ではなく、単なるエゴのぶん投げですね。
そして、僕は自分の表現がエゴから来るものだったか、自己表現になっていたかを場の反応から判断しています。エゴから来る場合は、表面的にはナイスな場になったりしますが、結局いっさい場に変化が生まれません。一方、自己表現はその瞬間は混乱や混沌と引き起こすことがありますが、そこに居る人の自己表現を呼び覚まします。そして場に起こるべき変化が起こります。これは何もファシリテーションの場だけではありません。1対1の会話、さらには企画など、口頭のコミュニケーションに限った場面でなくとも同じです。ちなみにコミュニケーションスキルの高い・低いにもいっさい関係がありません。(受け取りやすい、にくいの差は出ますが)
じゃあどうすればいいのか。エゴからの表現には、不安・恐れ、不信、傲慢さなどが隠れています。これらの要素を紐解いていって自分が本当に表現したかったことを見に行くことです。ただこれは若干訓練がいります。もう一つは非常にシンプルです。これも楠瀬さんが教えてくださいました。(これも正確性には欠けますが、主旨は合っていると思います)
恐れがあるということを認め、そして表現する
僕もまだまだ修行中の身です。ただ「本当の自己から表現している瞬間を増やす」そこにコミットしていることは嘘偽りの無い真実です。