レコーディングダイエットにみる自己変容の本質

今日の午後、 『楠木建×岡田斗司夫 戦略読書対談イベント』に行ってきた。この2人ということもあり、もともと期待値が高かったのだが、予想以上に面白い対談だった。今回はその中でも僕が一番興味深いと感じたことを紹介してみたい。

それは、一見、論理と理屈で固められているメソッドと思われがちなレコーディングダイエットが、実は自己変容の本質を巧妙に突いていたということだ。

これが分かったのは、岡田斗司夫がレコーディングダイエットに失敗した際の話からだ。最近の岡田斗司夫は、見れば分かるとおり、リバウンドしていて、この7月から改めてレコーディングダイエットを再開したとのことだった。しかし当初はレコーディングダイエットの開発者という驕りがあり、本にある通りやってはみたものの、失敗したらしい。

そして、この後に話していたことが最も興味深かった。それは「メソッドをただやるだけではダメで、書いて、その内容と自己に呆れ、笑って許すことこそがレコーディングダイエットの重要な点だ」ということだ。レコーディングダイエットをメソッドとして理解をすると、ただ食べたものを記録するだけと捉えられがちだが、実はそこに本質は無く、書いた先に起こる自分の感情の変化こそが肝であるということだ。

この「書いて、その内容と自己に呆れ、笑って許すこと」というのは、U理論で言われている変容のプロセスに酷似している。具体的にはU理論でいう所のレベル3を指すと思われる。

よくよく考えてみると、ダイエットというのは極めて難易度の高い自己変容プロセスであるとも言える。食欲という生存欲求をコントロールしながら、すぐに変化が訪れはしない体重と向き合い、自己を変革していく日々を送らなければならないからだ。

こう仮定すると、ただメソッドだけやってもうまくいかないのは道理が通る。メソッドだけやっている状態は、U理論レベル1ダウンローディングの状態であり、自己の内面を変革するまでの動きが起こらない。

難易度の高いことをやり遂げる際には、外面的な行動をコントロールするだけでは限界がある。何らかの仕掛けを取り入れて、内面的な変化を促すことが必要であり、そして変化をもたらすカギの一つこそが、レコーディングダイエットに代表される優れた戦略ストーリーによってもたらされる感情の動きであるということだろうか。

今まで戦略ストーリーは「あればなお良い」ぐらいに考えていたが、おそらくこれからの世の中、外面的なコントロールだけではうまく行かない場面が増えるのは必至で、そうなると戦略ストーリーは必然的に必要不可欠になっていくと考えられる。

外面だけでなく、内面を動かすという観点で、U理論+優れた戦略ストーリーというのは大変興味深いテーマなので、こっそり研究を続けたいと思う。

 

戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉

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