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「脳神経科学から読み解く感情セミナー」から感じた可能性と危うさ

condesign / Pixabay

今日は「脳神経科学から読み解く”感情”セミナー」というイベントに参加してきました。そこでお話しされていたことを元に、自分なりに考えたことをまとめてみました。

 

感情の機能とは

脳神経科学の観点から、感情は「生存上、有利か不利かを伝え、記憶させ、以後の予測確度を高め、刺激への反応を最適化させ、生存確率を高める」機能があるとのことです。

端的にまとめると「生存確率を上げるためのアラート機能」というところでしょうか。

ここで大事なのは「アラートはあくまでアラートであり、それに振り回されすぎないこと」かと思っています。

 

感情との付き合い方

さらに「振り回されすぎない」についても触れておきます。ここでいう「振り回されすぎない」とは「起きた感情を感じ切って、そこからのメッセージを受け取る」ことだと僕は定義しています。

今回のセミナーで「ネガティブな感情をポジティブな感情に書き換える」「ネガティブな感情を少なくして、ポジティブな感情を増やす」という発言がありましたが、僕はこのアプローチは百害あって一利なしだと考えています。

ここから先は僕の主観です。そもそも感情に良い・悪いはありません。人が勝手に意味づけをしているだけです。

ネガティブな感情を無いものにしようとして、押さえつけたりすると、かえってその感情は強くなります。感情はメッセージを受け取ってほしいので、受け取るまでひたすらメッセージを発し続けます。

だから、ネガティブな感情を抑えるには、感じ切ってしまう方が早いです。(言うは易し、行うは難しかもしれませんが)

なおこちらについてはセミナーでも触れられていて「恐怖」は意識的に認知することで抑制されるとのことです。また「恐怖」のポジティブな側面として、新しい情報が認知されやすくなる、とのことでした。

 

最先端の知識を持っているか否かではなく、どこからその知識を使うか、こそがカギ

今回、このセミナーに出て一番印象に残ったことは「知識を持っているか否か」よりも「どこからその知識を使うか」が大事だということです。

「感情を書き換えよう」とか「ネガティブな感情を可能な限り抑えよう」などと、問題解決のパラダイムで感情を扱っているうちは、どんな最先端の知識を持ったとしても、おそらく感情に対する「課題感」は無くならないと思います。

そうではなくて、どんな感情にせよ何かしらのメッセージを投げかけてくれるものとして捉え、そこから受け取ったメッセージを元に行動し、現実に働きかけていく。そしてまた感情からのフィードバックを受け取る。そんなあり方が望ましいのでは?と思います。

おそらくこれからもっと感情に対する解明は進んでいくかと思います。その際、自分がどんなあり方で感情と関わろうとしているのかをよく見つめた上で、知見と向き合っていきたいと思います。

 

 

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