最近、仕事でお客さま先を訪問すると、僕よりも年下の人材育成担当者の方に会う機会が増えてきました。
最初の頃は「自分も歳をとったな〜」なんて呑気なことを考えていたのですが、同じような場面に何度か出くわすうちに、何か大事なことが起こっていそうな感覚が高まってきていました。
あくまで仮説に過ぎないですが、今日はそのわずかな兆しをご紹介してみます。
まず前提として、人材育成という仕事はある程度のセオリーはありますが、確実な正解はありません。人は確実な正解がないものに対して自分の感覚を拠りどころにものごとを考えたり、判断しがちです。
つまり、何が言いたいかというと、正解のない人材育成はその人の価値観が反映される傾向があるということです。そしてさらに言うのであれば、その人の持つ価値観というのはその人固有のものもあれば、時代背景を元に世代を通じて形成されるものもあります。
さて、前置きはこのぐらいにして、若い人材育成担当者の方とのやり取りで僕が感じていることを端的にご紹介します。それは「パラダイムの転換」なのです。
今までの企業における人材育成は「企業の求める人材像にどれだけ早く、確実に、より多くの人を到達させられるか」という問いに答えるものが求められてきました。もちろん、この傾向は今でも続いています。
しかし、最近若い人材育成担当者の人と話している際に「そもそもこの人材像が本当に求められているのか?この指針は本当に役に立っているのか?」「実はこの枠を超えるような人材が求められているのではないか?」「仮にそうだとしたら、枠を超えるような人材はどうしたら育てられるのか?」「果たしてそれは人事が主導して育てる人材なのか?」など、これまでの人材育成の流れを健全に疑うような会話が展開されるケースを何度か体験してきました。
「企業の求める人材像にいかに近づけるか?」という問いから「いま、時代や社会が自社に求めている人材はどんな人材で、そんな人材はいかにして育てられるのか?」という問いに、求められるものが変わってきている感覚が増してきています。
これらの動きは、僕の体験する限り、複数、そして業種をまたいでいます。よって、突出した個人が考えている類のものではなく「世代」「時代」的な動きであると考えています。そして、今後ますます加速していくのではないでしょうか。これが、いま企業の人材育成の最前線で起ころうとしていることの僕なりの仮説です。
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