今日、地域通貨カンファレンスというイベントに参加してきました。地域通貨の実践者や研究者の方が一同に介して、それぞれの活動を共有しあうもので、僕は「循環型贈与経済」(経済4.0)の探究活動の一環としてお伺いしました。
カンファレンスの中で、いくつか印象深かったことがあり、それをいくつかご紹介します。
印象深かったことその1〜現金をもらうのは絶対にイヤ、という小学5年生の発言〜
この発言は地域通貨を子どもの教育に用いている活動の中における、とある小学生から発せられたものです。
僕はこの発言にショックを受けました。この発言の背景には、「相手が困っているから手伝ったのに、そのお礼としてお金をもらうのは申し訳ない」という思いがあったそうです。
本来、お金には良いも悪いも無いはずです。また大人から見れば「相手が困っていることを解決して、その対価としてお金をもらう」ことはごくごく自然なことのように思えます。
でも、この子はそれに違和感を感じている。そして、その気持ちをわかる自分もいます。それだけいまの「お金」と「お金を受け取ることへの罪悪感」、さらにはその根底にある「自己価値」が結びついているということなのでしょう。
「本来、人を自由にするはずのお金に、人は振り回されてしまっているのではないか?」そんな思いを、改めて強く抱いた瞬間でした。
地域通貨を使う、使わないはあくまで手段です。そもそも「お金」とは何なのか?、そして「お金と私」にどんな感情を抱くのか?この部分を扱っていくことが「循環型贈与経済」(経済4.0)の創造にも欠かせないプロセスなのだなと確信しました。
印象深かったことその2~地域通貨は人や地域の意図が如実に現れる~
地域通貨はあくまで第二の貨幣です。いまある「円」を否定するものではありません。「円」でサポートしきれない領域、「円」を出すには忍びないけれどもポジティブなフィードバックを返してあげたいものに地域通貨を用いるとき、感謝や応援の循環が生まれます。そして、その循環が拡大していくと、地域の創造性が高まっていきます。
地域通貨を導入しても有効に使われていないケースは、そもそも地域通貨とは何か?や地域通貨を導入することで何をもたらしたいのか?というようなビジョンに対する理解が不十分な際に起こりやすいとの研究結果があるというお話をお伺いしました。
逆に、背景やビジョンが前もって説明されていたり、考えられているケースでは、有効に機能するケースが多かったとのことです。
本来お金には良いも悪いも無いニュートラルなものだけに、それだけ人の意図が現れるのでしょう。継続・拡大していく地域通貨とそうでない地域通貨の違いはそのあたりにもポイントがありそうです。
印象深かったことその3~社会を変えるのではなく、社会をつくるという発想~
このカンファレンスに参加するにあたり、何となく考えていたのは「これからの地域通貨とは?」ということです。地域通貨はいまの社会システムでは補い切れないものを補完する機能がありながら、どうしても利便性に欠ける面があるので、どうしても扱いにくさが生じやすく、スケール感に欠けるという感覚がありました。
そしてそれを解決するのはおそらくITテクノロジー、さらに言えばfintechの領域にあるのだろうとぼんやり考えていました。
と、専門外の僕が考えるぐらいですから、すでに実践されている方がいました。
まさかこんなに早く出会えるとは思っていませんでしたが。
具体的にはブロックチェーンの技術を応用して、独自の社会システムを創ることができるようになるテクノロジーとのことです。これは地域通貨の流通・拡大という話を遥かに超えるスケールで、社会の仕組みそのものが再創造される可能性すら秘めています。
僕もまだ全容は理解できておらず、あまり詳しい説明はできないのが悔しいのですが、「僕の求めていた重要なパーツがここにあった!」と直感しました。
最近、つくづく思うのが「変える」という行為の無意味さです。変えられることを望んでいる人はほとんどいません。一方で、人は「変わりたい」という気持ちが芽生えれば自然と変化していきます。
ということは「現状を変える」のではなく、「変わりたい」気持ちを呼び覚ますような新たなものを創ってしまった方が早いのではないでしょうか?
だからこそ、いまのシステムを変えることに力を注ぐのではなく、多くの人が乗っかりたいと思う新たなシステムを創造することの方に力を注ぎたいと考えています。
少し話が逸れましたが、今回出会ったテクノロジーは、その新たなシステムを創造するのにあたり要となるリソースの一つになるはずです。今後開発者の方に直接お話をお伺いするなどして、どう社会に実装していけるのか?を具体的に模索していきたいと思います。
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