トヨタの強みと弱み〜トヨタ製品開発プロセスから〜

組織開発・組織変革

先週はこの本を読んでいました。見た目から伝わる通り、若干硬めな本なのですが、読み始めるとさながらプロジェクトXのようで一気に読んでしまいました。

ドキュメント トヨタの製品開発: トヨタ主査制度の戦略,開発,制覇の記録

ドキュメント トヨタの製品開発: トヨタ主査制度の戦略,開発,制覇の記録

  • 作者: 安達瑛二
  • 出版社/メーカー: 白桃書房
  • 発売日: 2014/09/06

本書は往年の名車マークⅡの開発プロジェクトを通じて、トヨタの製品プロセスが解き明かされている本です。特に「主査制度」という、言わばプロジェクトリーダー制度を軸にトヨタの製品開発プロセスが描かれています。

製品開発について学ぶためにこの本を読んだのですが、読んでいくうちにトヨタの強さと限界についてもわかってきました。今日はそれについて触れてみたいと思います。

まずは強さから。本書から感じ取れたトヨタの強さは、何よりチーム力の高さにあります。主査にあらゆる権限と責任を集約させることで、意思決定のスピードを上げ、それに沿って様々な部署が動くダイナミズムを行間から読み取ることができます。チームとしてのトヨタの強さはすでに知られてはいますが、リアルなケースで目の当たりにすると、そのレベルの違いを知ることができます。

そして弱さについて。僕が本書を読み終わって一番印象に残ったことは「トヨタは良くも悪くも問題解決の会社である」ということです。マークⅡも問題解決のために開発された車なのです。具体的にはオイルショックに伴う環境規制対応のため、そしてシェア拡大のために開発された車でした。

チーム力を伴う高速かつ質の高いPDCAサイクルで開発と販売を進めていく力がトヨタの強みなのですが、一方でビジョンを創り、あるべき姿を自ら設定してそれに向かって進んで行くという部分については他社に比べても劣るのではと感じました。「問題に対してどうする?」という話はかなり多いのですが、「そもそもどうしたい?」のような話はほとんど語られていなかったからです。

もちろんこの話は既に30年以上前の話なので、今もそうかどうかは分かりません。ただ、これまでのトヨタの歴史を観察すると、大きな流れは変わらないのかなとも思っています。

トヨタの凄さを知ることができたと共に、トヨタですら万能でない」そんなことを学んだ1冊でした。

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